ヤミ金業界の実態|何故ヤミ金融が蔓延するのか?|ヤミ金融と出資法

ヤミ金業界の実態

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ヤミ金業界の実態

サラ金業界に詳しい人や学者の一部、エコノミストの中には、「賃金業界に対して今以上の規制をかけることで、借りられなくなった人がヤミ金に手を出してしまい、今よりさらにヤミ金が横行するのではないか」と言う人も少なくありません。

上記の意見を根拠に賃金業法の改正にも反対しています。

 

また経済活動を規制することで、超過需要になるおそれもあることから、ブラックマーケットが成長してしまう可能性も指摘されています。

 

「改正賃金業法」が成立したのは、2006年の12月。成立してから3年半の間、驚くべきことにサラ金や商工ローンの貸付残高は大幅に減り、さらにサラ金でもテレビコマーシャルで有名な“アイフル”は事業再生を行い、商工ローンの中でも大手の“SFCG”は破産するに至りました。

ここではヤミ金融を、規制強化によって生じたブラックマーケットではなく、サラ金や商工ローンによって生まれた過剰債務問題……つまり市場の失敗によって生まれた副産物として考え、様々な問題に触れていきます。この点については、ヤミ金融の実態に即して解説します。

 

ヤミ金融の実態について調べても、実は一方的な意見しか見掛けないと言うことが多いです。

 

「ヤミ金融の被害者は悲惨である」と言う意見ばかりですが、様々な面からの実態を知りたいですよね。

 

そのためここでは、ヤミ金融からどのようにして救済されるのか、どのようにしてヤミ金融と戦うのかについても触れていきます。

ヤミ金融と出資法

「ヤミ金融」とは、そもそも一体何なのでしょうか。

一般的に「ヤミ金融」とは、出資法に基づく金利規制に反した高い金利(超高金利)で貸し付けを行う、非合法の金融になります。

 

では、超高金利とはどのような金利を指すのか。

 

皆さんは、“トサン”や“トゴ”と言う言葉を聞いたことがありますか?十日で三割や十日で五割と言う、驚くべき高金利のことです。トサンで十万円を借りたなら、金利は十日で三万円で、トゴなら五万円と言う驚くべき金利があるのです。

このような金利で貸し付けを行うと、金利はたった一ヶ月で十万円、あるいはそれ以上にもなり、あっという間に返せなくなるでしょう。

 

ここで注目したいのは「出資法」です。「出資法」とは、出資の受け入れや預かり金、金利などを取り締まるための法律になります。

 

一般に「出資法」は、年に109.5パーセントを越える金利を禁止しています。また業として貸し付けをする場合は、年に20パーセントを越える金利を禁止しています。

 

ヤミ金融は業なので、「出資法」により金利の上限は20パーセント。しかし、実際に“トサン”や“トゴ”と言う金利での貸し付けが行われているのもまた事実。

 

では、“トサン”や“トゴ”は、一体何パーセント程度の金利になるのでしょうか?“トサン”であれば年に1095パーセントで、出資法の上限にあたる金利の50倍。“トゴ”であれば年に1825倍で、なんと100倍にも近い金利になります。

何故ヤミ金融が蔓延するのか


法を犯して営業している「ヤミ金融」。当然罰せられるケースも少なくありませんが、そうであるにもかかわらず何故増えたのでしょうか?

 

「ヤミ金融」が増えた理由の中でも、最も大きな要因はずばり「儲かるから」。

 

お金を借りる人の中でも「ヤミ金融」に手を出すのは、切羽詰まった人が大半。そのため「貸した金を返せ」と言っても、返すことが出来ない人はとても多いです。全額返すことが出来ないならば利息だけでもと取り立てますが、すぐに次の期限がやってきます。

 

こうしてずるずると同じような取り立てを続けられるうちは、残念ながら借金を返していないと言えます。利息が一年の間に1000パーセントを越えているとしたら、ボロ儲けと言えるでしょう。

 

では、何故「ヤミ金融」が儲かるのか。

 

この理由も非常に簡単。「ヤミ金融」にお金を借りようとする利用者が後を絶たないからです。

「ヤミ金融」でお金を借りようとする者は、多重債務者が大半。サラ金業界が長年にわたって行ってきた高金利や過剰な貸し付けによって生まれた多重債務者は、200万人や300万人とも言われています。

 

「ヤミ金融」がこうも大手を振るうことが出来るようになった背景には、サラ金業界があると言っても過言ではないでしょう。

 

普通の人ならば、いきなり見ず知らずの相手……それもカタギとは言い難い金融業者に「お金を貸します」と言われても応じません。

 

だからこそ「ヤミ金融」は、サラ金業界からの借金で首が回らなくなっている人を狙うのです。

ヤミ金融の形態と移り変わり

ヤミ金融には様々な種類がありますが、具体的な犯行形態の特徴は時期によって変わります。

なお、貸金業は登録制であり、店舗の数によって登録を受ける機関が変わってきますが、出資法違反……つまりは犯罪を犯している高利貸しはいわゆる「モグリ」になりますが、多くは氏名や住所を明らかにするのを嫌うため、この登録を避けている場合が多いです。

 

「モグリ」の高利貸しは、今までは基本的には口コミや人脈で顧客を集めてきたため、表だって騒がれることはありませんでした。しかし現在の高利貸しは、主婦・サラリーマン・学生など、本来借金に縁が無さそうな層にまで貸し付けていることから、問題視されています。

システム金融


少し前までは、あまり表に出ることが無かったヤミ金融が活動の範囲を広げ、表沙汰にされるようになったのは、「システム金融(手形・小切手ヤミ金)」によるところが大きいです。


大体、1990年代後半、国内経済の不況や経済のグローバル化などを要因にしてのことです。

 

「システム金融」が狙いを定めたのは、主に中小零細事業者。電話やFAXで融資の勧誘をしていました。

 

「システム金融」は、郵便局留で小切手や手形を送らせて融資を行い、その手形・小切手を決済させて融資金の回収をすると言うタイプの「ヤミ金融」になります。なお「システム金融」の拠点は、主に東京・大阪・福岡・札幌などの大都市でしたが、顧客自体は全国各地に居ました。

都(1)金融


1990年代も後半になると、東京都内では超高金利で貸し付けを行う業者の存在が知られるようになりました。具体的には、10日で2割の“トニ”や、10日で3割の“トサン”などです。

 

従来の10日で1割の“トイチ”業者と違うのは、まず東京都知事から貸付業者としての登録を受けていないと言う点。

 

次に、集客方法が人的な繋がりを必要としない、ダイレクトメールやスポーツ新聞・雑誌の広告などであること。

 

そして最後が、顧客層がサラリーマンや主婦といった、一般消費者が多いと言う点です。
なおこのような形態の金融業者が日本全国に広がったのは、2001年から2002年頃になります。

 

「東京都(1)●●号」と言う登録番号が記載されているダイレクトメールが記載されていた事と、有名な高利貸し用語から「都(1)金融(といちきんゆう)」と呼ばれています。

090金融


2001年から2002年頃、「都(1)金融」が広がったのと時を同じくして、電柱やガードレールなどに金融業者の張り紙を見掛けるようになりました。

 

この張り紙に記載されている電話番号が090から始まるものであったため、「090金融」と呼ばれています。

 

地元のヤミ金融であり、やはり貸金業者としての登録はしていません。また事務所などではなく、待ち合わせ場所に車で乗り付け車内で直接現金を遣り取りするのが特徴。地元故に、取り立てが非常に厳しいです。

「ヤミ金融」と「振り込め詐欺」

スポーツ新聞や雑誌、インターネット上の広告などで屡々目にする「ヤミ金融」。

「ヤミ金融」への取り締まりは次第に強くなっていますが、それにあわせたかのように「ヤミ金融」から「振り込め詐欺」へと転じる組織が増えました。

 

特に2006年頃から、「振り込め詐欺」をなりわいとするグループは増加の一途を辿り、大きな社会問題にもなりました。ニュースでも、「振り込め詐欺」グループによる被害が頻繁に報道されていたので、知らない人は居ないでしょう。

 

では、一体何故「ヤミ金融」が「振り込め詐欺」へと姿を変えたのか。

 

一番の理由は、やはり「ヤミ金融」と「振り込め詐欺」には共通点が多いからでしょう。他人名義の預金口座や、他人名義の携帯電話など、必要なツールが共通しているだけでなく、役割分担の構図などまでよく似ています。

 

「振り込め詐欺」は、基本的に単独で行うことが出来る犯罪ではありません。特に被害者から振り込まれたお金をATMから下ろす役割を担う「出し子」は非常に重要。ATMからお金をおろす際、設置された防犯カメラの画像から身元がわれることをおそれ、外部の人間を「出し子」として雇います。

 

ATMなどから運良く「出し子」を見付けることが出来たとしても、その「出し子」は雇われただけで組織の情報は何も持っていないので、実行犯達は逃げることが出来ると言う仕組みです。

 

「ヤミ金融」同様、よく考えられた犯罪組織であると言えるでしょう。

ヤミ金融の巧妙な手口

「ヤミ金融」の手口は、実に巧妙。時代にあわせて形態を変えていきます。ここでは、そんな「ヤミ金融」の手口について触れていきます。

勧誘・名簿屋

多くの場合、被害者ははがきなどのダイレクトメールや電話で勧誘を受けます。このような手法で直接・個別勧誘を受けると言うのが一般的。

 

しかし、このような勧誘目的のダイレクトメール(はがき)をよく見てみると、拠点が遠方の「ヤミ金融」の場合があります。

何故、遠く離れた場所に拠点をおく業者が住所や氏名、携帯の電話番号まで押さえているのか。理由は簡単。「ヤミ金融」が、莫大な人数の個人情報が記載された多重債務者リストを仕入れているからです。

 

借金の返済におわれるあまり、「ヤミ金融」の甘い誘いに乗ってしまうと言う多重債務者は少なくありません。

 

ところで、「ヤミ金融」は何故敢えてお金が少ない多重債務者をターゲットにするのでしょう?

 

多重債務者にお金を貸したところで回収出来ないんじゃないか、と思うかも知れませんが、「ヤミ金融」の狙いは多重債務者本人ではなく、その周囲。「ヤミ金融」は最初に審査のためと言う建前で、本人だけでなく家族や親戚縁者の個人情報まで収集します。被害者は返済が滞っても「周囲から取り立てるぞ」と言われ、必死になってお金を集めます。

高金利契約と顧客情報

普通の人ならば「ヤミ金融」と聞くだけで身構えてしまうもの。そのため「ヤミ金融」は、最初から自分達を「ヤミ金融」だと名乗っているわけではありません。

 

最初はサラ金よりも低利だとでも言うように近付いてきます。そんな言葉に乗せられて「借りたい」と言ってしまうと、多重債務者であることを理由に「審査が通らない」と言われ、更に短期・小口の貸付を切り出してきます。

 

「ヤミ金融」は多重債務者のリストを持っており、最初から多重債務者であることを知った上で勧誘しているので、当然審査や低利融資は嘘っぱち。もしも一度でも返済が滞ると、「ヤミ金融」としての本性をあらわし、脅迫のような取り立てをするようになります。

三種の神器

過酷な取り立ては、直接顔を見ているわけではなく、繰り返し行ううちに感覚が麻痺することで行われるそうです。

 

そんな犯罪を可能にするには、必要なものがいくつかあります。一つ目は、携帯電話。この携帯電話は他人名義のものである「飛ばし」の携帯電話でなければなりません。次に、やはり他人名義の預金口座。そして最後が、個人情報を不正に入手することで作られた名簿です。これらはあわせて「三種の神器」と呼ばれており、ヤミ金融には必須のアイテムになります。

 

これ等の犯罪インフラ、実は提供する周辺業者が存在します。例えば、他人名義の携帯や預金口座を売る「道具屋」、他人名義の携帯を貸す「レンタル屋」などです。そしてこのような犯罪インフラが存在する裏には、名義を売る人物が存在します。一口に「ヤミ金融」と言っても、実は直接間接を問わず多くの人間が絡んで行われているのです。